政情不安がつづく南米ベネズエラを巡り、カナダやアルゼンチンなど米州14カ国でつくる「リマ・グループ」が4日、対策を話し合う緊急会合をカナダのオタワで開いた。同グループのうち11カ国が会合後に宣言を発表し、暫定大統領就任を宣言した反マドゥロ派のグアイド国会議長に忠誠を誓うようベネズエラ軍に求めたほか、マドゥロ政権への圧力の継続や、民主的に選ばれる新政権への経済支援を確認した。
会合には、ベネズエラ情勢に中立な立場を取るメキシコを除く、13カ国の外相らが参加。宣言にはメキシコのほか、ガイアナとセントルシアも加わらなかった。また、構成国ではないが、グアイド氏を暫定大統領として承認したスペインやフランス、ドイツなどの代表も会合に出席した。
カナダのトルドー首相は冒頭の演説で、マドゥロ大統領を「受け入れがたい独裁者」と強く批判。グアイド氏を念頭に「ベネズエラには今や正統な大統領がおり、選挙を実施するための道がある」と語り、5300万カナダドル(約44億円)の人道支援も表明した。
一方、マドゥロ氏は4日、「我が国の危機は努力で乗り越えられる」と演説。グアイド氏支持の欧州諸国との外交関係を見直すことも政権が発表し、強気の姿勢だ。ただし、マドゥロ氏は、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王宛てに反マドゥロ派との仲介を求める手紙を送ったことも明らかにした。
ベネズエラでは食料や医薬品が不足し、人道危機が生じていると指摘されている。国連の報告では、2015年以降、300万人が周辺国などに難民や移民として出国したという。
国連のグテーレス事務総長は4日、ベネズエラ情勢を懸念するとの声明を発表し、中立的な立場から解決に取り組むと表明した。(サンパウロ=岡田玄)