歌舞伎界の逸材として注目を集めてきた市川海老蔵さん(41)が、2020年に歌舞伎の大名跡「市川団十郎」を十三代目として襲名することが決まった。長男の堀越勸玄さん(5)も、海老蔵さんの前名「市川新之助」を八代目として襲名する。14日、記者会見を開いて発表した。五代目団十郎が「祖父や父たちに及ばない」との意を込めて使った俳号「白猿」も付け、「市川団十郎白猿」を名乗る。名前の格段の大きさを誇る市川団十郎。海老蔵さんは、どんな団十郎を目指すのか。
海老蔵さん、伝えたいのは「父と麻央」 団十郎襲名へ
勸玄さん、遊びとお稽古どちらが好き 海老蔵さんも驚く
型破りを地で行く
海老蔵さんは1983年、5歳で初お目見え。85年に七代目新之助を襲名し、父の十二代目市川団十郎(1946~2013)とともに襲名披露興行に臨んだ。子どものころ、大人に話しかけられると、妹の日本舞踊家市川ぼたんさんの背後に隠れるようなナイーブな少年だったという証言もある。
「海老さま」と呼ばれ、熱い視線を集めた祖父の十一代目団十郎(1909~65)の麗しい芸姿を慕って修業を続け、2004年に十一代目海老蔵を襲名した。「勧進帳」の弁慶、「助六由縁江戸桜(助六)」の助六、「源氏物語」の光源氏などは家の芸で魅力を発し、「伽羅先代萩」の仁木弾正で見せるすごみは無比で、持ち前の大きな目をむき出す「にらみ」は特筆に値する。
企画の面でも活発だ。漫画の原作者とタッグを組んだ歌舞伎にいち早く取り組んだり、2015年には「六本木歌舞伎」と銘打った舞台で「宇宙規模の新作」に挑んだり。ど派手で型破りな点は、まことに歌舞伎的ともいえる。昨年7月には、歌舞伎座で、能、華道、バロックオペラをとりこみ、プロジェクションマッピングを駆使した歌舞伎を実現させた。
この間、“やんちゃ”な時代もあったが、妻の小林麻央さんとの間に勸玄さんらを授かった。しかし17年6月、麻央さんは34歳でこの世を去る。多くの人の悲しみを誘ったその翌月、二人は歌舞伎座での舞台を務め、ファンらを感心させた。親子で記者会見に臨む機会も増え、「そういう対応だと、パパ、汗かくよ………」などと、子煩悩の素顔ものぞかせるようになった。
目指す団十郎像は?
約7年ぶりの復活となる団十郎。海老蔵さんが見すえる先は、どこにあるのか。
団十郎名は歌舞伎界で歴史が長…