伊藤忠商事は15日、中国に設けるデータセンター向け投資ファンドを、出資先の中国中信集団(CITIC)と共同でつくると発表した。1千億円台で始め、3千億円規模をめざす。動画配信やチャットの普及に伴ってデータ通信量が急増していることを踏まえ、特化型ファンドを設ける。
データセンターは、個別企業の手に余る量のデータや社内システムの処理、保管などを引き受ける専門施設。多くのデータを取り扱うため、大規模な電力設備などが必要となる。
伊藤忠などがつくるファンドは、センターの用地取得や建設資金を事業者に提供。賃料収入につなげ、投資家に還元する仕組みという。
中国では、ウィーチャットの利用などでデータ通信量が拡大。コンサルタント会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予想では、2015年の300億ギガバイトから、20年には1810億ギガバイトに増える。
伊藤忠によると、中国ではデータセンターの需要も高まり、中央政府が各地方政府にセンターの用地や電力インフラの整備を呼びかけている。「昔なら考えられなかった内モンゴルでの計画もある」(伊藤忠の担当者)という。
投資ファンドの世界では、オフィス向けや賃貸マンション建設向けといった具体的な分野に絞った特化型のファンドがあり、近年は物流倉庫向けやホテル向けもある。今回のデータセンター向けは、特化型の新顔という。