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英の伝統料理から魚が消えた ビーガンの店を訪ねて



見た目は「正統派」のフィッシュ・アンド・チップスと変わらない=ロンドン、稲垣康介撮影



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日本人にとって、英国のソウルフードとして真っ先に浮かぶ「フィッシュ・アンド・チップス」。白身魚のフライにフライドポテトを添えた料理は、パブの定番メニューだ。昨秋、装いを変えてオープンしたロンドン東部にある専門店が人気だと聞いた。その特徴は何と、魚を使わない趣向だという。どういうこと? なぜ繁盛しているの? 頭の中に疑問符ばかり浮かぶので、足を運ぶことにした。


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そもそも、この取材を思いついたのは、昨年のクリスマス前、ロンドンの地下鉄の駅のホームで見つけたインパクトのある広告がきっかけだった。


七面鳥がこちらを見つめている写真とともに、刺激的な見出しが目に飛び込んできた。




ロンドンの地下鉄のホームで見つけた「ビーガニズム」を呼びかける広告=2018年12月、ロンドン、稲垣康介撮影



「ビーガニズム 僕のことを、自分で考えたり、感じたりする存在だと認識してほしい」


写真の中の七面鳥がこちらに向ける視線が、心なしか悲しみを帯びるように迫ってくる。


「ビーガン」を推奨する民間団体の広告だった。最近、日本でも聞かれ始めたビーガンについて、一応説明した方がいいだろうか。菜食主義者のベジタリアンの中でも、肉と魚だけでなく、動物に由来する乳製品や卵なども口にしない人たちを指す。


クリスマスになると、家族がそろってオーブンでこんがり焼いた七面鳥を食べる伝統が英国にはあるだけに、季節を踏まえたこの広告の訴求力は秀逸だ。ウィットに富んだキャッチコピーが多い英国らしさを感じさせる。




「ロンドン初のビーガン」を売りにするフィッシュ・アンド・チップの専門店の看板=ロンドン、稲垣康介撮影



1月中旬の週末に訪れたのは、ハックニー中央駅近くの「サットン・アンド・サンズ」という専門店。もちろん、新鮮なタラなどを使った「正統派」のメニューを今も出す有名店だが、昨年10月から思い切ってビーガン専門の店舗を新たに始めた。


訪ねたのは土曜日の午後7時前。20人弱が座れる店内は、8割ほど埋まっていた。


注文したのは定番メニューであ…


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