中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕をめぐり、カナダと中国の関係が悪化している問題で、中国の盧沙野・駐カナダ大使が17日、「5G(次世代通信規格)でカナダが華為の参入を禁じれば、悪い結果を招くだろう」と述べた。今後の対応次第では中国側がさらに圧力を強める構えを示し、カナダ側に警告した形だ。
「華為」が分断する世界 背負う宿命の先に
取材2年、ついに現れたボス 華為に見る中国企業の宿命
盧氏はオタワにある大使館でカナダや中国のメディアの取材を受け、大使館が18日付で内容を公表した。
5Gをめぐっては、米国が華為の製品や部品の政府調達を禁止したことを受け、カナダを含む「ファイブ・アイズ」と呼ばれる同盟国や日本も同調する姿勢をみせている。
盧氏は華為事件について「司法ではなく、政治の問題だ」との認識を示し、改めてカナダに幹部の早期釈放を要求。両国関係の悪化が「自由貿易の推進交渉にも必ず影響する。カナダにとって中国との貿易の重要性は、中国にとってのカナダよりも大きいはずだ」と語り、経済面でもカナダに不利益が及ぶと牽制(けんせい)した。
カナダは中国にとって、西側の国の中で最もイメージが良かったとしたうえで、「多くの中国人は、友人に背後から刺されたと感じている」と批判した。
中国は事件後、2人のカナダ人を拘束したり、裁判所が差し戻しから2週間余りでカナダ人に死刑判決を出したりして、国際社会から「法治精神を欠く」と批判を浴びている。それでも盧氏は「中国は孤立しない。国際社会とは西側国家だけではない。中国の友人はアジア、アフリカ、南米にもいる」と反論した。(北京=延与光貞)