月組の美弥(みや)るりかが、艶美(えんび)な身のこなしで、愛の物語へと観客を誘った。10~24日に宝塚バウホールで上演されたミュージカル「アンナ・カレーニナ」。貴族社会のしがらみに翻弄(ほんろう)されつつも、既婚女性への愛を貫こうともがく青年貴族将校を演じた。
トルストイの小説を元にした作品で、宝塚では2001年と08年に上演された。「愛のために生きたい」と歌い上げる主題歌は登場人物それぞれの思いが絡み合い、胸に迫った。デュエットダンスや男役の群舞など、気品にあふれたダンスも印象的だった。
相手役の海乃美月(うみのみつき)は、青年と夫との間で揺れ動くアンナの複雑な心情を表現。夫役の月城(つきしろ)かなとは、妻を奪われながらも自身の心をひた隠しにする人物像を、抑えた演技で掘り下げた。雨の場面では、陰のある表情で、言葉にならない切なさや悲しみを表現した。入団1年目のきよら羽龍(はりゅう)は、歌唱力で舞台に華を添えた。(杢田光)