天皇陛下は28日、国会・参院本会議場で開かれた第198回国会(通常国会)の開会式に出席した。宮内庁によると、即位後の出席は今回で82回目。4月末に退位するため、これが最後になる見通し。
宮内庁によると、国会の召集は憲法で定められた国事行為だが、開会式出席や「おことば」は公的行為にあたる。衆参両院議長の願い出を受ける形で、1947(昭和22)年の第1回から天皇が出席してきた。
陛下は今回、「国会が、当面する内外の諸問題に対処するに当たり国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」とおことばを述べた。
即位後最初の出席は、1989(平成元)年2月。昭和天皇は国会議員に「全国民を代表する諸君」と呼びかけていたが、陛下は「全国民を代表する皆さん」と表現を改めた。
95年1月の阪神・淡路大震災直後の開会式では「今次の地震による被害は、きわめて甚大であり、その速やかな救済と復興は現下の急務であります」と述べた。
欠席は、前立腺の全摘出手術で入院した2003年1月の第156回の1度だけ。宮内庁関係者によると、陛下は開会式を「重い行事」として考え、出席を大事にしてきたという。(緒方雄大)