2008年秋のリーマン・ショックは、理論家として知られた白川方明(まさあき)総裁(肩書は当時)率いる日本銀行に、危機対応を迫った。めまぐるしく変わる経済の見通しは難しく、市場との対話も十分とは言えず批判を浴びる原因となった。金融緩和の政策余地が乏しく、海外経済のリスクにさらされる姿は、現在とも重なる。1月29日に公開された08年下半期(7~12月)の金融政策決定会合の議事録から見えるものとは。(湯地正裕) その日、白川総裁は何度も時計を気にしていたという。約7年7カ月ぶりの利下げを決めた10月31日の決定会合。緊迫した議論は5時間半に及んだ。 政策金利の0・5%から0・25%への利下げを審議委員3人が求め、審議委員1人(水野温氏(あつし)氏)は現状維持を主張。一方、執行部案は下げ幅が小さい0・3%への利下げだった。執行部案への採決は4対4の賛否同数で、白川総裁の裁定で通る異例の展開だった。採決後、会議室では議論の「もう一幕」があった。 「反対と伝わると、市場もあい… |
リーマン渦中の日銀、「きまじめ」総裁が述べた反省の弁
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