重要な民事訴訟の記録を永久保存する制度が東京地裁でほとんど使われず、多くの著名訴訟の記録が廃棄されていた。裁判所が「国民共有の財産」をないがしろにしてきた格好で、有識者からは「歴史を作っているという自覚が欠けている」と批判が出ている。
著名訴訟の記録廃棄 東京地裁、永久保存の制度生かせず
法廷でメモを取る権利につながる訴訟の原告だった米ワシントン州弁護士のローレンス・レペタさんは訴訟記録の廃棄を伝えられると「大ショックです」と答えた。
「いったん廃棄されると永遠に無くなります。国が公正な裁判をやっているのか、違うのか、証明する資料が消えてしまった。判決文も大事ですが、それを裏付ける資料がなければ、判決が正しいかどうか分かりません」とレペタさんは指摘する。米国の国立公文書館では連邦裁判所の記録を1790年の分まで保存している。「裁判記録も政府の文書も国民の財産です。それがなくなるのは国民にダメージ(損失)をもたらします」
民事訴訟の記録を永久保存する…