全国の病院の少なくとも9%が、働き手に残業をさせるために必要な労使協定を結んでいないことが厚生労働省の調査でわかった。救急を担う病院も含まれ、違法に残業させている可能性がある。厚労省は都道府県を通じてこれらの病院の状況を把握し、新年度中に適切な対応を求める方針。
労働基準法は、労働時間の上限を「1日8時間・週40時間」とし、休日は「毎週少なくとも1回」などと定める。これを超えて残業させるには、経営側と働き手が労使協定(36協定)を結び、残業時間の上限などを決め、労働基準監督署に届ける必要がある。割増賃金も生じる。
労基署などによる2016年の事業場への調査によると、労働時間に関する違反は全業種で21%。病院を含む医療保健業に限ると36%と高かった。協定を結ばずに労基署から是正勧告を受けた大規模病院もあり厚労省は18年2月、協定の自己点検や労働時間の管理の適正化を医療機関に求めた。
全国8379病院に9~10月、点検の実施状況を聞くと、回答した4173病院のうち、393(9%)が「協定を締結しておらず締結の必要もない」と回答。救急医療の中心を担う高度急性期・急性期の病院も105含まれていた。「対応する時間がない」「方法がわからない」などほかの理由で自己点検していない病院もあり、この中に協定を締結していない病院が含まれる可能性がある。
厚労省は違法な残業を解消させるため、協定のない医療機関を把握し、都道府県に状況を個別に確認してもらい、残業があれば早急に協定を結ばせる方向で検討している。
36協定で決める残業時間をめ…