米インド太平洋軍トップのフィリップ・デービッドソン司令官(海軍大将)は12日、上院軍事委員会に提出した声明で、「我々は北朝鮮が、すべての核兵器やその製造能力を放棄する可能性は低いと考えている」と警戒感を示した。米政府の情報機関を統括するコーツ国家情報長官も先月末、北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低いとの見方を示している。北朝鮮の非核化をめぐり、軍と情報機関が厳しい見解で足並みをそろえた格好だ。
デービッドソン氏は、北朝鮮が2017年11月以来、弾道ミサイルを発射していないと指摘したうえで、「緊張は緩和された」と評価。ただ、「北朝鮮が現在も米国と国際社会に与えている脅威について警戒し続けなければいけない」とした。さらに、「軍の戦闘即応性こそ北朝鮮の脅威に対する最も有効な抑止力だ」と述べ、軍事力によって北朝鮮に圧力をかけ続ける重要性を強調した。
12日の上院軍事委員会の公聴会には、デービッドソン氏とともに、在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官(陸軍大将)も出席。エイブラムス氏は北朝鮮の軍事能力について「検証可能な変化は皆無か、ほとんどない」と指摘したうえで、「米国、韓国、そして周辺地域の米国の同盟国は引き続き危険な状態にある」と語った。
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は27、28日にハノイで2回目の米朝首脳会談を開催する予定だ。トランプ氏は北朝鮮の非核化に向けた取り組みに楽観的な見通しを示している。(ワシントン=園田耕司)