フットサルの湘南ベルマーレの久光重貴(37)は肺がんの治療を受けながら、プレーを続ける現役選手だ。右上葉肺腺がんが見つかったのは31歳のとき。毎年欠かさず、メディカルチェックを受けていたが、鎖骨に隠れて発見が遅れ、検査で見つかった時にはすでにリンパ節にも転移し、手術も放射線治療もできない状態だった。
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これまで5年8カ月の間、治療を続けてきたが、選手としての自分にこだわってきた。「がんを公表してから、ファンや患者から応援され、下を向いていてはいけないと感じた。選手であることで、多くのひとにエネルギーを与えられる」と病気に向き合った。
現在は左の肺にも転移し、8種類目の抗がん剤を使いながらプレーを続けている。「かつての一番のいい状態に戻ることはない。トップフォームを維持するのではなく、できることを伸ばして新たな自分を発見できると考えられるようになったら楽になった」という。
「池江選手にも、彼女しかできないことがある。白血病でもこんなことができるという力強さを見せてほしい。一緒にがんばりましょうと伝えたい」とエールを送っている。(潮智史)
血液疾患経験のスノーボーダーもエール
プロスノーボーダーの荒井daze善正さん(39)は2006年に白血病と同じ血液疾患の「慢性活動性EBウイルス感染症」になった経験を持つ。
「だれでも起こりうることと皆さんに伝えていたけど、あれだけのアスリートがなるとはびっくりした」と話す。ただ、「自分の体に敏感でいる選手だから、その変化にもすぐ気付いたのではないか」と言う。東京五輪を翌年に控え、周囲の期待も高かっただけに「ショックも大きいし、勇気のいる、つらい決断だったと思う」。
自身は骨髄移植後8カ月でプロスノーボーダーとしての撮影に復帰し、1年後には大会に復帰した。その後はプロ選手を続ける中、「スノーバンク」という団体を作り、患者の支援をしたり、骨髄のドナー登録を呼びかけたりする活動をしている。池江選手に対して「これを乗り越えればもっと強くなれる。あきらめないで欲しい」とエールを送った。