サッカー選手として、数字以上のものを故郷に残したと思う。15日に現役引退を発表した巻誠一郎(38)。W杯にも出場したストライカーは、ロアッソ熊本に加わった2年後に熊本地震に遭うと、地域の復興を願って奔走した。
元日本代表の巻誠一郎が引退 W杯ドイツ大会メンバー
人目をはばからず、号泣していた。熊本地震の本震から5日後の2016年4月21日。熊本市内のクラブハウスでのミーティング後、報道陣の前で取材に答えた巻は、顔をゆがめながら話した。「熊本が大好きだし、正直サッカーを頑張ろうとはなりにくい気持ち」
熊本県宇城市出身。生まれ育った土地の甚大な被害に、心底、心を痛めていた。人はこんなに泣けるものなのか。私がそう思うくらい、ずっと泣いていた。
その感情に、巻は正直に、迅速…