スギなどの木材を、どの山でどの業者が切り出したか追跡できる仕組み「林業版トレーサビリティー」を、宮崎県が来年度から導入する。宮崎はスギ丸太の生産量で日本一。2次元バーコードの「QRコード」を使って管理し、盗伐の防止を狙う。林野庁によると全国的にも先進的な取り組みという。
木材を切る時に、伐採業者と山の所有者が連名で出す「伐採届」ごとに市町村がQRコードを発行し、木材に添えて出荷する。伐採面積と実際に切り出した木材の量を、簡単に比べられるようにする。
伐採届にある本来の伐採対象の外にある木を、所有者に無断で切るような盗伐では、届の伐採面積に対し、切り出す木材の量が多くなる。トレーサビリティーによって、こうした悪質な事例を防ぐ。
また、丸太の市場、製材業者を経て、工務店や住宅業者に届くまでの、その先の取引も記録。山から業者までの流通を、後から追跡できるようにする。
まずは来年度、特定の地域で実証実験を始める。14日発表した来年度当初予算案に、そのための事業費1千万円を盛り込んだ。
国内では戦後に植林された木が50~60年経って切り時を迎えている。暖かい宮崎は全国に先駆けてピークを迎えており、伐採量が増える一方、盗伐の被害が相次いでいる。県の担当者は「宮崎で起きている問題は今後全国で起きる可能性がある。手本となる仕組みをつくりたい」と話す。(小出大貴)