行政視察の欠席を理由に不当な厳重注意を受けたとして、三重県名張市の柏元三(げんぞう)市議(75)が市に500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁第一小法廷であった。池上政幸裁判長は「違法な公権力の行使にあたらない」と述べ、市に50万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、柏市議を逆転敗訴させる判決を言い渡した。柏市議の敗訴はこれで確定した。
判決によると、柏市議は2015年1月の岡山県、福岡県への行政視察を「市の財政が危険水域にあり、実施すべきではない」として欠席した。議会運営委員会は翌月、「正当な理由なく欠席した」として厳重注意することを決めた。
池上裁判長は、厳重注意は議会が議員としての行為に取った措置で、法的な効力はないと指摘。「内部規律の問題にとどまり、適否は自律的な判断を尊重すべきだ」と結論づけた。
一審・津地裁判決は「議会の自律権の範囲内」として請求を棄却したが、二審・名古屋高裁判決は「市民としての権利侵害を問う訴訟だ」などとして市に賠償を命じていた。(岡本玄)