リニア中央新幹線の建設工事をめぐるゼネコン大手4社の談合事件で、独占禁止法違反の罪に問われた大成建設元常務の大川孝被告(68)と、鹿島の元営業担当部長大沢一郎被告(61)の初公判が14日、東京地裁であった。大川元常務は「受注業者を決定したことはない」、大沢元部長は「JR東海があらかじめ受注業者を決めていた」と述べて起訴内容を否認。法人として起訴された両社とともに無罪を主張した。
この事件では、大成建設と鹿島のほか、大林組、清水建設が起訴された。談合を認めた大林組と清水建設の役員らは不起訴(起訴猶予)となる一方、否認した大川元常務と大沢元部長は逮捕され、9カ月以上勾留された。法人としての大林組と清水建設には昨年10月に有罪判決が言い渡され、確定している。
起訴状によると、大川元常務と大沢元部長ら4社のリニア担当幹部は2014年4月~15年8月、リニア中央新幹線の品川、名古屋両駅の新設工事で談合し、事前に受注を調整したとされる。検察側は冒頭陳述で、両被告は大林組元副社長と3社での会合を繰り返し、最終的に清水建設を加えて15年2月までに談合がまとまったと指摘した。
これに対し、大成建設側は冒頭陳述で、両駅の工事については、同社や大林組がJR東海から事前に技術検討をさせられていたと指摘。「現実的に受注可能な会社は限られ、そもそも競争が存在していなかった」と主張した。また大川元常務らと弁護人がやりとりした記録を東京地検特捜部が捜索で押収したとして、「通信の秘密の侵害であり、違法収集証拠だ」とも述べた。
鹿島側も冒頭陳述で、「受注者を決める競争は、JR東海の意向によって事実上決着していた」と指摘。大沢元部長には受注競争が制限されるという認識はなかったと主張した。(小林孝也)