指定暴力団工藤会が北九州市小倉北区の本部事務所の固定資産税を滞納している問題で、土地と建物を差し押さえた市が近く、土地の鑑定評価に入ることがわかった。関係者によると、工藤会側は売却の可能性を示しており、市は評価額をもとに売買交渉を進めていくとみられる。
事務所は工藤会トップの野村悟被告(72)=殺人罪などで起訴=が代表取締役を務める会社の所有で、2014年から暴力団対策法に基づく使用制限がかかっている。滞納している固定資産税は数百万円とみられ、市は昨年12月14日、土地と建物を差し押さえた。
関係者によると、工藤会側は事務所を売る可能性を示しているという。北橋健治市長は「事務所の撤去は暴力追放運動にとりシンボリックな意味を持つ」と述べ、市は福岡県警の立ち会いのもと、1月上旬に工藤会側との1回目の交渉をした。同月下旬には市や県警、工藤会の関係者らが現地を視察した。
今後、具体的な売買交渉を進めていくには評価額が必要なため、市が調べることになった。価格面で工藤会側と折り合えるかは未定で、市以外の公的機関や民間が買い取ることも含めて検討するとみられる。買い取る場合は、建物の取り壊しが前提となる。(井石栄司)