正職員と非正職員の待遇差が労働契約法の禁じる「不合理な格差」にあたるかが争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(江口とし子裁判長)は15日、非正職員にも賞与を支給すべきだとする判断を示した。最高裁は昨年6月、正社員と非正社員の手当の待遇差を「不合理」と初めて判断したが、弁護団は「賞与の支払いを認めたのは画期的だ」としている。
訴えていたのは、大阪医科大(現・大阪医科薬科大)で2013年1月~16年3月に時給制のアルバイトとして働いていた大阪府高槻市の50代女性。正職員と同様に毎日出勤して教員のスケジュール管理などに従事していたのに、賞与や手当、休暇制度に差があるのは違法だとして、大学に賞与など約1270万円の支払いを求めていた。
江口裁判長は、同大の正職員に支給される賞与は金額が年齢や成績に一切連動していないことから、一定期間働いていたことへの対価の性質があると指摘。月給制の契約職員にも正職員への支給額の8割が支給されている点もふまえ、賞与が全く支払われないことは不合理だと判断した。
正職員には取得が認められている夏季休暇と病気休暇についても「生活保障の必要性がある」などとして待遇差は不合理と認定し、女性の請求を棄却した昨年1月の一審・大阪地裁判決を変更。正職員の賞与額の約6割となる約70万円の賞与分を含む109万円の支払いを同大に命じた。
大学側は「判決文が届いていないのでコメントできない」としている。(大貫聡子)