授業準備や部活指導などで長時間労働を強いられ、適応障害を発症して休職を余儀なくされたとして、大阪府立高校の男性教諭(31)が府に計200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に近く提訴する。授業以外の仕事の大半が「教員の自発的行為」とみなされ、残業代も実質的に支払われない公立学校の給与制度のもとで、教員の労働時間管理や負担軽減がなおざりにされていると訴える方針だ。
現役教諭が過労問題で学校側を訴えるのは異例。
訴状によると、男性は2012年春に教諭として採用され、16年に現在の勤務校に赴任。17年度には、世界史の教科担当とクラス担任に加え、運動部の顧問、生徒の海外語学研修で引率責任者も任された。
男性は業務量の増大で次第に心身に変調をきたし、17年7月ごろに適応障害を発症。同年9~12月と翌18年2~3月の2度、学校を休職したという。
男性側は、学校の出退勤管理システムの記録をもとに、発症直前1カ月間の時間外労働は127時間、その前月は155時間に上っていたと主張。精神障害の労災認定の目安(2カ月間連続して月120時間以上)を大きく上回る水準に達していたのに、校長らが対応を怠ったと訴える。
男性側代理人の松丸正弁護士は「『自発的』なはずの活動の多くが、実際には『義務』に近い仕事として教員に重くのしかかっている」と指摘。「長時間労働を知りながら軽減措置を怠った学校側の責任とともに、現行の給与制度がもつ欠陥も国全体の問題として明らかにしたい」という。
大阪府教育委員会は「個別事案に関するコメントは差し控える」としている。(山崎毅朗、阪本輝昭)