主ながん治療の一つ「抗がん剤」は、再発・進行したがんでは、一部を除いて治癒させることは難しく、効かなくなるときが訪れる。そのとき、どうするか。患者、家族、医師らが難しい判断に向き合うかぎは、対話にありそうだ。
抗がん剤のやめどきは 無理に治すより「どう生きるか」
京都府内の70代女性は2006年と12年に肺がんの手術を受けたが17年に再発した。手術はできずに抗がん剤治療が始まった。
特定の遺伝子変異があると使える分子標的薬から始まり、次いでがん細胞の増殖を抑える薬。免疫細胞に作用してがんへの攻撃を促す免疫チェックポイント阻害剤2種類と続いた。だが効果はみられず、昨年11月末に亡くなった。
その1週間ほど前、付き添ってきた次女(51)は、薬による積極的な治療をさらに続けるか悩んでいた。新たな検査で特定の遺伝子変異が見つかれば、別の薬を試せたからだ。「家族としては治療を打ち切る判断はしにくい。でも次の薬もうまくいかずに体力が奪われれば、寿命を縮めるのではないか」
一方、女性は痛み止めの医療用…