昨年9月の北海道地震で大きな被害が出た北海道厚真町では21日夜、震度6弱の最大震度を観測した。
同町役場によると、午後9時20分過ぎに横揺れに襲われ、徐々に揺れが大きくなり、数秒間続いたという。同40分現在、役場の電気や電話は通じている状態で、町民から、けが人や火事などの情報は入っていないという。
「昨年9月の地震よりも長いように感じた」。同町役場職員によると、庁内で一時停電したが、すぐに復旧した。書類が少し崩れ落ちたが、大きな被害はないという。
胆振東部消防組合(厚真町)によると、けが人などの被害の報告は午後9時半過ぎ現在、入っていない。
厚真町の建設会社員の男性(63)は、自宅の居間で横になってテレビを見ていた時、突然「ガタガタ」と家が揺れ出し、その後、大きな揺れが起きた。「縦揺れだった。10秒ぐらいかな」。揺れがやんだ後に周囲を見て回ったが、物が壊れたりはせず、停電や断水もなく、被害といえば棚から郵便物が落ちた程度だったという。「大きい揺れだったが、体感的には昨年の地震ほどではなかった。この前はひどかったから」
隣接する苫小牧市や安平町、むかわ町などでも、大きな被害は確認していないという。
厚真町に隣接するむかわ町。町総務企画課の梅津晶さんは、帰宅後、自宅で休んでいたといい、「強い縦揺れのあと、シャンデリアが大きく揺れる横揺れがあった。すぐに車で役場に向かったが途中の道路の信号はついており、停電もなかったと思う」。同町内の女性(70)は、自宅でテレビを見ていたときに下から突き上げるような揺れを感じた。「前回の地震と全く同じような感じだった。起きていた時間だったのも幸いだった」と話した。
ホテルが併設されている道の駅「むかわ四季の館」(北海道むかわ町)では、宿泊客10人ほどが1階の休憩室に避難。施設によると、建物が激しく揺れて一時停電したため、宿泊者に避難を呼びかけたという。
一方、札幌市中心部のガソリンスタンドでは、揺れの直後から給油レーンに列ができた。アルバイトの男性(20)は「大規模停電が起きた昨年の地震では、車で充電する人たちが多かった。その記憶がよみがえったのではないか」。
札幌市営地下鉄は21日、終日の運転見合わせを決めた。地震発生後、南北、東西、東豊の全3路線で運行を停止していたが、終電までに点検作業を終えられないためだ。翌日の運行は、夜間の点検の結果を受けて判断する。
日本航空によると、新千歳空港では一時、滑走路を点検。このため、同社の仙台発2909便(乗客65人)は上空で待機し、点検が完了し、問題がないことがわかった後、約30分遅れの午後9時58分に着陸したという。