キリンビールは、産休や育休から復帰する社員が希望する勤務地を選べる制度を4月から導入する。都市部を中心に子どもの保育園入園が厳しい状況が続いているため、子育てしやすい場所で仕事に戻ってもらい、育児と両立しやすい環境づくりをめざす。厚生労働省によると、こうした制度はめずらしいという。
休業前の職場に復帰する現在のルールを改める。対象者は勤続3年以上で、休む期間が6カ月以上の社員。都道府県単位で希望できる。配偶者と同居できる場所や、親族の子育てへの支援が受けられる場所での復帰などを想定している。復帰場所があらかじめ決まっていることで、保育園などの確保に向けて早く取り組める利点もある。
同社では、年間に約40人が産休・育休を取る。産前休暇は6週間、産後休暇は8週間、育休は子どもが2歳になるまでの間、取得可能だ。「実家の近くで復職できないか」「配偶者と別居しているので同居したい」といった社員の要望を受けて制度を変更した。
がんの治療と仕事の両立を支援する制度も、同時に導入する。抗がん剤治療など、定期的な治療や透析が必要な社員が年次有給休暇を使い切ってしまわないように短時間・短日数勤務を認める。短くする時間や日数は、社員と個別に相談して決めるという。(長橋亮文)