入試面接で「出産したらどうやって育てていくのか」と聞かれた。女子は外科に興味がないだろうからと、手術を見学させてもらえなかった――。複数の医学部入試で女子受験生が不利な扱いを受けていた問題を受け、医学生の団体が行ったアンケートには、性別を理由に差別された体験が多く寄せられた。男女平等であるはずの社会。しかし、男女のスタートラインは、女性に対する「減点」や「女性だから」という決めつけによって、一直線ではなくなっている。
国際女性デー インタビュー特集はこちら
不正入試問題の発覚から半年あまり。現役医学部生からも、変革を求める動きが活発になっている。
全日本医学生自治会連合(医学連)は先月、全国の医学生を対象にしたアンケートの中間集計と提言をまとめた。不正入試問題の受け止めや、入試や大学で性差別を受けた体験を尋ねる内容で、昨年12月から今月末まで実施中。2月1日時点で2186人(男性57・5%、女性40・7%、性別無回答1・8%)が答えた。
入試に関しては「一律に扱いを決めていた、システム化されていたというのがショックで、とても残念」(女性、5年)、「医師という職業に就く権利は最大限尊重されるべきであり、医師の多様性は社会の要請するところだと考える」(男性、3年)などの回答があった。
入試の面接で、結婚や出産などライフイベントに関する質問を受けた人は14%。主に女性から「出産、育児で退職するつもりか」(2年)、「妊娠はあなたにとってメリットかデメリットか」(2年)といった質問を受けた経験談が寄せられた。
さらに、入学後も「医局説明会で『女医は結婚すれば働かなくていいから楽だよね』と何度も言われた」(6年)、「『女子は外科に興味が無いだろ』と言われ、手術見学の機会を与えられなかったことがあった」(5年)など、言葉の暴力を受けたり、性別を理由に学ぶ機会を奪われたりしたという声もあったという。
不正入試の背景として、医師の過重労働の問題が指摘されていることに関しては、約7割が「将来の働き方を不安に思っている」と答えた。医学連は調査結果を踏まえ、大学や自治体、病院に対して、性別・年齢を理由にした不公正な扱いを禁止することや、医師の労働環境の改善、柔軟なキャリア設計を保障することで医師の多様性を確保することなどを求める提言をまとめた。
一方、先月27日、東京・永田…