愛知県あま市発注の工事入札をめぐる贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された同市元スポーツ課長の伊藤義久容疑者(60)=同市森5丁目=が、在任中に同課の入札に関わる業務の一部を課長だけの権限で決定できるよう変更していたことが、愛知県警への取材でわかった。変更後、贈賄容疑で逮捕された男の会社の受注額が約20倍に増えており、県警は特定の業者に便宜を図る狙いがあったとみている。
収賄容疑であま市元課長逮捕 見返りにプロ野球チケット
県警によると、伊藤容疑者は2016年4月にあま市のスポーツ課長に就任。17年には、修繕工事が必要な施設や入札の参加業者の選定を、課長が独断で決められるように担当業務の範囲を変更した。それまで、発注についての課長の権限は、主に部下の選定したものを決裁するだけだった。
伊藤容疑者は、同年6月以降の市発注の2件の工事で「中京スポーツ施設」(愛知県尾張旭市)が受注できるよう便宜を図った疑いで逮捕された。この2件の工事と参加業者の選定なども、当時の課長だった同容疑者の専決だったとみられる。15年度は約50万円だった同社の受注額が、17年度は約1千万円と約20倍に増えていた。
贈賄容疑で逮捕された中京スポーツ施設の元取締役の垣見正秀容疑者(70)=同県津島市新開町3丁目=と伊藤容疑者は30年以上の付き合い。伊藤容疑者はプロ野球・中日ドラゴンズの年間観戦チケット(約37万円相当)を受け取った見返りに、入札の参加業者の名前を垣見容疑者に教えるなどした疑いがある。「なじみの業者に仕事を回したかった」と話し、容疑を認めているという。
伊藤容疑者は、チケットの一部を知人らに転売もしており、ギャンブルなどの遊興費に充てていたとみられる。