子どもが薬をのむ際、「苦い」「大きい」などが課題となる現状を変えようと厚生労働省は、子ども用の治療薬の開発を促進する制度を作る方針を決めた。必要度が高い薬を指定し、企業を財政的に支援したり承認審査の期間を短くしたりする。今国会に提出する予定の医薬品医療機器法の改正案に盛り込む。自民党の厚生労働部会が7日、大筋で了承した。
国内の多くの薬は、子ども向けの用法や用量が設定されていない。このため、医師が海外の使用状況などを参考に、大人向けの薬を砕くなどして使っている。砕くと薬の成分の苦みが感じやすくなったり、割れた錠剤の角がのどに引っ掛かって痛みが出たりすることもあり、治療の妨げにもなっていた。
前・日本小児科学会薬事委員長の中川雅生・京都きづ川病院長らによると、2001~14年度に承認された医薬品1125品目のうち、子どもが適応対象なのは277品目(25%)。医薬品医療機器総合機構(PMDA)によると、10~17年度に承認された抗がん剤では185品目のうち11品目(6%)にとどまった。
今回、「特定用途医薬品」という枠組みを作り、子ども向けの用法・用量の設定や、新しい形状の開発が必要な薬を指定する。国の機関は、開発に取り組む企業に効果や安全性を調べる臨床試験など開発に必要な資金を助成。優先的に承認審査をして販売までの期間を短くできるようにし、税制面でも優遇する。指定の詳細な要件などは法案の成立後に詰める予定だ。
「小児の医薬品は形状や用量に…