中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相は8日、全国人民代表大会(全人代)に合わせて北京で記者会見し、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)製品に対する米国の制裁や同社の孟晩舟(モンワンチョウ)・副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された件について「最近の中国の特定企業や個人に対する行為は単純な司法行為ではなく、政治的に抑圧しようとしているのは明らかだ」と牽制(けんせい)した。そのうえで「我々が守るのは企業の利益のみならず国家や民族の正当な権利であり、各国がルールを守り、偏見を捨て、公平な市場環境をつくることを望む」と訴えた。
一方、米中関係については今年が国交正常化40年にあたる重要な年だとした上で、「風雨の中で歴史的な発展を遂げてきた。現在、大きな課題に直面しているが、双方が『不惑』の力を保つことが必要だ」と貿易紛争などを仕掛ける米国に冷静な対応を呼びかけた。「米中を『切り離し』(デカップリング)するという声もあるようだが、中国と離れることはチャンスや未来、世界と切り離れることを意味する」とも述べた。
また、ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談については「朝鮮半島の核問題における重要な一歩であり、積極的な進展がみられた」と評価。「中国は北朝鮮の発展を全力で支持する。中朝が手を結ぶことで問題の解決と平和への道を維持できる」と語った。(北京=冨名腰隆)