北朝鮮の労働新聞(電子版)は8日付の論評で、ハノイでの米朝首脳会談が合意を得られずに終わった事実に初めて言及した。間接的に米国に責任があるとしつつも、トランプ米大統領を批判することは避けた。今後の交渉を有利に進めるための戦略とみられる。
論評は、「ハノイでの首脳会談が成功することを願っていた内外(の関係者)は、合意文なしに終わったことを米国に責任があると一様に主張している」と指摘した。北朝鮮メディアは金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長がハノイに出発する場面から大々的に報道していたため、これまで控えていた会談結果についても、ある程度説明する必要に迫られたとみられる。
トランプ米大統領への直接的な批判は避けたが、今後の交渉で米国の要求を拒んだり、軍事的な挑発に出たりする際、国際社会にその正当性を主張するため、会談で合意に至らなかった責任を米国に押しつけたい思惑もにじませた。
一方、論評は「唯一、日本の反動層だけは、うれしいニュースに接したように拍手して憎らしく振る舞っている」と批判した。(ソウル=牧野愛博)