カナダで逮捕され、米国への引き渡しが求められている中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モンワンチョウ)・副会長兼最高財務責任者(CFO)が6日、引き渡しの審理の準備手続きのため、西部ブリティッシュコロンビア州の最高裁判所に出廷した。孟氏の弁護団は、トランプ米大統領の発言などから、「政治的動機による事件だ」などと懸念を示した。
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この事件をめぐり、米国の要請で孟氏を逮捕したカナダ政府は、「司法の独立」を強調して法的プロセスを粛々と進める方針。ところが、トランプ氏は米中貿易交渉がまとまれば介入して訴追を取り下げる可能性を示唆しており、弁護側はこうした点をもとに「政治的案件」と訴え、引き渡しを阻む考えだ。
この日は、米司法省が孟氏を詐欺などの罪で起訴したことを受けて、孟氏の米国への身柄引き渡しの審理を始める期日を決める予定だった。だが、弁護側が事件の複雑性なども訴えたため、5月8日に再度集まって期日を決めることにした。次回までに政府側と弁護側が今後の進め方について議論するという。
孟氏は昨年12月にバンクーバーの空港でカナダ当局に逮捕された。弁護団は、その際に孟氏が与えられるはずだった、弁護士との連絡など憲法上の権利が侵害されたとして、カナダ政府などを訴えている。弁護団は引き渡し審理に当たっても「訴権の乱用」の申し立てを行う可能性があるとしており、審理の進展に影響を与える可能性がある。(ニューヨーク=鵜飼啓)