今年2月、メルトダウン事故を起こした東京電力福島第一原発1、2号機の中央制御室に入った。全面マスクに防護服を着て、担当者の案内で薄暗い部屋に足を踏み入れた。
事故時、運転員ら24人がいたという室内は片付けられて整然としていた。壁一面の計器類には「使用不可」を示すテープが貼られている。懐中電灯で照らすと、水位計の脇に「21°30 +40cm」(「°」は時の意味)と走り書きが見えた。8年前、刻々と変わる原子炉の水位を書き取った跡だ。ひっそりと静まりかえった部屋は、時間が止まったようだ。
蘇る記憶、福島第一原発の日常 元運転員の記者が再訪
東電と国が事故直後に定めた「廃炉完了まで30~40年」とした工程は、5分の1以上の時間が過ぎた。当初の「(トラブルに)モグラたたきのように対処する現場」(東電の担当者)からは脱したが、対処法が定まらない課題も多く、手探りが続く。
中央制御室に隣接する原子炉建…