日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が役員報酬を有価証券報告書に過少記載したという金融商品取引法違反罪で起訴された事件で、役員報酬の個別開示を義務づける案を金融庁が2010年に公表した際、ゴーン前会長が導入を阻止するため、部下に金融庁への働きかけを指示していたことが、東京地検特捜部の調べでわかった。
報酬隠し、検察主張判明 ゴーン前会長が様々な工作指示
カルロス・ゴーン もたらした光と影
地検は前会長が制度導入を機に高額報酬を隠すようになったとみて、公判で経緯を立証する方針だ。
08年のリーマン・ショックの後、高額報酬への規制が世界的に強化される中、金融庁は10年2月、1億円以上の報酬を得た役員の名前と金額を有報に個別開示するよう義務づける内閣府令の改正案を公表した。
特捜部の調べでは、ゴーン前会長の年間報酬は来日した99年度の約3億円から08年度は約26億円に増えていた。前会長は報酬額が公になることを懸念。前代表取締役グレッグ・ケリー被告(62)=同法違反罪で起訴=や渉外担当の川口均・常務執行役員(現・専務執行役員)に金融庁などへの働きかけを指示したという。
改正内閣府令は10年3月に施…