オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で24年になるのを前に、「地下鉄サリン事件被害者の会」などが16日、東京都千代田区で集会を開いた。昨年7月には教団元幹部13人の死刑が執行されたが、「被害はいまも現在進行形で、教団の後継団体も活動しており、事件はまだ終わらない」との声が出た。死刑執行時の法相だった上川陽子氏もビデオメッセージを寄せ、「命を見つめ続け、考えに考え抜いた末の判断だった」と述べた。
集会では、父親が教団幹部らに拉致されて命を奪われた仮谷実さん(59)と、地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさん(72)が死刑執行などについて対談した。仮谷さんは「命が大切なら命で償ってもらうしかない、というのが私の基本的な考え方」としたうえで、「心の傷は死ぬまで抱えていくしかない。それを少しでもいやしてくれる償い方は、大勢の命を救う活動をするとか、死刑以外にもあるかもしれない」と語った。高橋さんは、元教団代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚は「憎い」としつつ、他の12人の元死刑囚は「(松本元死刑囚に)あやつられた犠牲者だと思う」と話した。きっかけは、元死刑囚の親たちが、地下鉄事件の直前まで坂本堤弁護士一家の救出運動を担っていたことを知り、「この人たちも被害者だ」と思ったことだったという。(河原理子)