レオパレス21(深山英世社長)が建築基準法に合わないアパートを施工した問題で、同社は18日、第三者調査委員会の中間報告書を公表し、基準に合わない部材が使われたのは「当時の社長の指示が発端となった」とした。速やかな引っ越しが必要な入居者7782人中、年度内に引っ越したりメドが立ったりしたのは1121人にとどまるという。
レオパレス物件、天井裏仕切り壁1枚だけ「アウトやろ」
同社は2月、1996~2001年につくられた延べ1324棟で、外壁や天井に不備があったと発表。仕切り壁や外壁の内部に、設計図面に記した部材「グラスウール」ではなく、遮音性や耐火性で同法の基準に適合しない「発泡ウレタン」が使われた例が明らかになっている。
中間報告書によると、ウレタンの使用は、創業者で06年まで社長を務めた深山祐助氏の指示で方向性が示された。施工業務の効率化が目的で、ウレタンを使った物件は関東近郊の一部で施工されたという。
報告書で第三者委は「当時の社長からの指示だったこともあって、ウレタンの使用については十分な性能実験が行われなかったことがうかがわれる」と指摘。さらに、当時の商品開発が祐助氏直轄の部署で行われていたことが「法令や品質を軽視する原因・背景となっていたと思われる」と述べた。多数の物件で長期にわたり不備が生じたことについては、「全社的な開発・施工態勢のずさんさ・ぜいじゃくさにとどまるのか、意図をもって組織的に行われていたかどうか、更に調査が必要」と強調した。
また報告書は、賃貸事業に関する同社のビジネスモデルについても触れた。「物件への入居者数を増やすために、企業の人事異動や学生・社会人の新生活開始のタイミングに間に合うように物件を完成させることが重要」と言及。その上で、今回の不備が「そのために工期の短縮や施工業務の効率化が求められていたことが大きく関係していたと思われる」と概括した。
昨年4月に公表した屋根裏の仕切り壁がない問題については、12年にあった物件のオーナーとの民事訴訟で同様の不備が指摘されていたと記載。同社がこの不備を知ったと説明する18年より以前に、問題を認識していた疑いがあるとした。
これらの報告に対し、18日に会見した同社は、「(部材の)仕様変更の手続きが取られていなかったことが最大の問題」として、祐助氏に当時、ウレタンへの変更が物件の不備につながる認識はなかったとの見方を示した。
第三者委は5月下旬をめどに最終報告書をとりまとめる見通しだ。
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