政府が2020年までの実現をめざす運転者がいない無人の自動運転移動サービスをにらみ、警察庁は運転席やハンドルがない自動運転車を使った公道実験を行うための基準を作る方針を決めた。高速道路をトラックが連なって自動運転する隊列走行で、2台目以降は無人で走る実験のための基準も定める。
自動運転の課題を探る警察庁の調査検討委員会が14日にまとめた報告書をふまえた対応で、19年度をめどに策定する予定だ。
無人移動サービスは、交通の足を確保しにくい地域で高齢者らを乗せたり、施設内で利用者を運んだりする形の利用が見込まれる。専用の車やカートが比較的低速で走る。自動運転の段階のうち、限られた場所でシステムが全て操作する「レベル4」にあたる。
警察庁は従来型の車に運転者が乗らず遠隔操作で走る公道実験のため17年に基準を定め、各地で実験が行われている。1人の操作者が2台を走行させる実験も始まっている。
自動車メーカーなどは、運転席がなく、手動運転に切り替わる場合は運転者が通常のハンドルやブレーキとは違うコントローラーや停止ボタンなどで操作する車を構想。このため警察庁は公道実験を行う場合に満たすべき安全面の条件を定める方針だ。こうした車の公道実験は欧州などで既に行われているという。
調査検討委の報告書は、車内の運転者は常に操作できる態勢を確保することや、操作訓練、操作練度の確認が必要などと指摘した。これらが基準の検討のもととなる。
2台目以降を無人にするトラックの隊列走行は20年度の実現を計画。報告書では、計3台以内とするなどとされた。(編集委員・吉田伸八)