群馬県渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」で入居者10人が犠牲となった火災から19日で10年を迎える。犠牲者の多くが東京都内の生活保護受給者。都会の低所得の高齢者が地方に移り、防火設備などが不十分な無届け施設が「ついのすみか」になっている実態があらわになった。その後も同様の施設の火災は全国で相次ぐ。
「責任は私1人にある」 施設運営法人(解散)の高桑五郎元理事長(94)は取材に応じ、そう語った。火災は2009年3月19日午後10時半すぎに発生し、入居していた当時55~88歳の男女10人が死亡。高桑氏は業務上過失致死罪に問われ、防火管理上の注意義務を怠ったとして前橋地裁で13年1月、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
判決は「生活困窮者らの社会的弱者を救いたいと志し、私財を注ぎ、低廉な料金で生活の場を提供してきた」とも述べた。
その高桑氏は、昨年3月から生活保護を受給し、現在、家賃月1万8千円の前橋市内のアパートで一人暮らし。家族とも音信不通という。3年前に交通事故で足を負傷し、自動車免許を返納した。
前橋市中心部の裕福な商家出身…