天皇の代替わりが近づいてきた。それに伴う儀式のなかには「神器(じんぎ)」の引き継ぎもある。しかし考えてみれば、特定のモノが重要性を帯びるのは不思議な話だ。なぜ「神器」は生まれたのか。どんな役割を果たしてきたのか。時代の節目に立ち止まって考える。
5月1日の「剣璽(けんじ)等承継の儀」では、新天皇に剣と璽(勾玉(まがたま))などが引き継がれる。政府は皇室経済法をもとに、宗教色のない「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」と説明する。ただ、明治時代に制定された旧皇室典範では皇祖皇宗から伝わる「祖宗(そそう)ノ神器」と明言し、宗教性を隠していなかった。
それにしても、例えば剣は本来、人を殺傷する武器だ。それがなぜ――。
金属の武器は弥生時代に大陸か…