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人を包む皇后さまの手、「次」へ導く手 あのサプライズ

平成と天皇 日赤理事、池上清子さん(67)


【特集】平成から「令和」へ


大学生だった1970年代、日本赤十字社の組織する「赤十字語学奉仕団」で数年間ボランティア活動をしましてね。今もある組織ですが、前身は東京五輪の「日本赤十字社パラリンピック通訳奉仕団」。各国から集まるパラリンピックの選手のため日本の学生が集まるなどして始まった活動で、美智子さまも強く心を寄せていたと聞いています。


奉仕団では美智子さまの母校の聖心女子大で年1度、英語劇などを発表していましたが、美智子さまが毎年のようにいらしてくださった。当時から、たたずまいや話し方まで美しくて、それは本当に今もお変わりになりませんね。


そのころのお話を、後に、皇后さまに差し上げたことがあります。「国連人口基金東京事務所」の所長だったころ、国連大学にいらした両陛下を並んでお迎えした時に、学生時代の奉仕活動を自己紹介で触れました。すると数カ月後、語学奉仕団の先輩と3人で御所にお招きいただきましてね。


夜の8時からでしたが、なんと天皇陛下もご一緒に席につかれ、本当にびっくりしました。お食事には手鞠(てまり)すしや野菜のごまあえなどと共にツクシのおひたしがあって、天皇陛下が「このツクシはぼくが今朝摘んだものだから、おいしいと思うよ」と。御所で芽吹く四季折々のものを、そうやって大切に召し上がっているんだなあと、とても感動したことを覚えています。


天皇陛下とは以前に1度、寄生虫関係の国際的な学会が開かれた際、通訳をつとめたことがあります。各国から数百人もの関係者が集まる会議でしたが、レセプションでの大勢の方々との会話や腰かけてのランチの時の幹部との会話を、おそばで英語や日本語に訳すおつとめです。


でも、現実には陛下は、ほとんどの英語はご自分でおわかりでした。で、時々寄生虫などの学術用語が出てくると、「なんでしたっけ」と私の方をむいてお聴きになるのですが、あまりに専門用語すぎて私にはわからず、結局そばにいる学会の関係者にお聴きしたりしてあまりお役に立てなかった。そんな思い出も、この夕食のときにお話ししました。


陛下と皇后さまは並んでソファ…


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