60歳の還暦を迎え、その歌声は円熟味を増していた。各地での「還暦コンサート」も盛況だ。突然の引退表明だが、悩み抜いた末の決断だったに違いない。自身、夢をよく見る。芸能界の先輩でもある美空ひばりさんが出てきて「大丈夫? 何かあったらすぐに言いなさいよ」と声を掛けられたこともあったという。
昭和、平成と二つの時代を駆け抜けた歌姫。「波瀾万丈(はらんばんじょう)の人生」と言えるだろう。20年ぶりに芸能界に復帰した2006年。発表した新曲の題名は「バラ色の未来」だったが、私生活はバラ色ではなかった。離婚後の重い更年期障害。子宮筋腫が悪化し、子宮頸(けい)がんも見つかった。全摘出の手術をしたが、「早く仕事がしたい」と気ばかりが焦る毎日だったという。
もともと器用な性格ではなく、…