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会社都合の転勤やめるって本当ですか? ある損保の試み

作者:佚名  来源:本站原创   更新:2019-3-27 15:20:11  点击:  切换到繁體中文

 

全国に拠点はあるけど、会社の都合による転勤は原則ありません――。そんな方針を打ち出す会社が日本にも出てきた。夫の転勤を機に妻が退職を余儀なくされたり、転勤しない代わりに出世をあきらめなくてはいけなかったりと、会社員のキャリアと密接に絡む転勤制度。どうやって「原則転勤なし」を実現させようとしているのだろうか。


「転勤厳しい」と退職


AIG損害保険で支店長を務める小林広知さん(53)は昨年7月から、大阪でやっと家族と一緒に暮らせるようになった。それまでの8年間は、専業主婦の妻と3人の子どもを大阪に残し、東京などに単身赴任していた。帰れるのは月に1回ほど。「8年の間に受験などがあり、妻は大変だった」と振り返る。「子どもたちをリアルタイムで叱れる」という今を満喫している。


AIG損保は今年4月、「会社都合による転居を伴う転勤」を原則廃止する。昨夏に試験的に運用された際に小林さんは手を挙げ、大阪に住めるようになった。


同社で営業や損害査定などを担当する「レギュラー社員」は、3~5年おきに全国に200カ所ある拠点間で転勤するのが通例だった。


しかし、数年前から目立つようになったのが「転勤が困る」という理由での退職だ。配偶者の転勤、育児、親の介護、自身の病気など社員にはそれぞれの事情があり、転勤を前提とした働き方は難しいと感じる人が増えてきたのだ。そこで人材確保のために転勤制度を見直すことになった。


「モバイル」と「ノンモバイル」


新制度ではまず、全国を11に分けたエリアの中から、社員が勤務を希望する地域を選ぶ。その上で、希望するエリアでしか勤務しない「ノンモバイル社員」と、希望エリア以外の場所でも勤務する可能性がある「モバイル社員」のどちらかを選ぶ。レギュラー社員約4千人のうち、「モバイル」を選んだのは2割だった。


両者の給与体系は全く同じだ。ただ、モバイル社員が希望エリアでない場所で働くことになった場合にのみ、社宅や手当を支給するという。


小林さんが選んだのは、もちろん「ノンモバイル社員」。キャリアアップへの不安もあったというが、小林さんは「課長や支店長だけでなく、営業の上級職などのポストも増えている。ノンモバイルだから出世できないわけではないとわかった」と話す。


ミスマッチどうする?


だが、みんなが希望するエリアで勤務できるとなれば、会社としての人員配置がおかしくなってしまわないのだろうか。


AIG損保では現状、エリア別の希望人数と適正な人員配置を比較すると、東京と大阪が「希望過剰」になっているという。


今はまだ全員が希望するエリアで働けているわけではない。2021年9月までに、「ノンモバイル」を選びながらまだ希望の場所で働けていない社員を希望エリアに異動させたり、モバイルを選んで東京や大阪で勤務している社員に希望以外のエリアに異動してもらったりして、全体の調整を図っていくという。


人事担当の執行役員、福冨一成さんは「ビジネスマンとしての力は、エリア内で様々な異動を経験することでも身につく」と話す。


AIGは将来的に社命での「異動」もなくしたい考えだ。空席のポジションを社内公募し、手を挙げた社員と上司が面談して異動を決めるなどの制度をすでに始めている。福冨さんは「キャリアを自主的に作ってほしい」と話す。


転勤制度見直す動き、ほかにも


転勤制度を見直そうという動きはAIG損保だけにとどまらない。


キリンビールは4月から、産休や育休から復帰する社員が、希望する勤務地を選べる制度を導入する。


「実家の近くで復職したい」「配偶者と別居しているので同居したい」といった社員の要望を受けたものだ。従来は休業前の職場に戻ることが原則だったが、家族や実家からの支援を受けられる場所や、保育園に入りやすい場所での復帰もできるようになる。


「ダッシュキャリア」って?


キャリアを見据えた転勤の配慮をしているのがサントリーだ。同社にはもともと、遠方への転勤がない「エリア限定職」という職種があったが、8年前に採用をやめた。限定職の大半が女性で、管理職への女性登用が進まない原因になっていたためだ。


さらに「ダッシュキャリア」という考え方を人事異動に採り入れることにした。女性が出産や育児で休むことで「キャリアロス」を起こす可能性を見越し、早めに転勤や海外研修で経験を積んでもらおうという考え方だ。地方勤務になる新入社員のうち、女性の割合はこの5年で3割から5割になり、管理職候補の女性も増えてきているという。


こうした企業の動きを専門家はどう見ているのか。


「日本型雇用では、社員はクビにならない代わりにどこへでも行くし、どんな仕事でもするというのが前提だった」と話すのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の矢島洋子さん。共働きが増え、男性でも転勤を嫌がる社員が増えている中で、「転勤を見直すことは人材確保につながる。転勤は人材育成のため、とされることが多いが、大半は人員配置という会社の都合。どうしても転勤してもらう必要がある場合、応じる人にそのタイミングで賃金を上乗せするといった工夫が必要だ」という。


どこも人手不足の時代。会社員にはつきものだと長く言われてきた転勤のあり方を根っこから問い直してみることが、会社と人をよりよい関係に導いていくヒントになるかもしれない。


その転勤、ほんとうに必要ですか?(栗林史子、高橋末菜)



 

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