鉄道の安全運行をレールの製造販売で支えて98年――。北九州市門司区の九州鉄道機器製造が、切断したレールを使ってブックエンドをつくり、東京の代官山蔦屋(つたや)書店で販売を始めた。「縁の下の力持ち」に徹してきた老舗が、ものづくりをする中小企業の魅力を知ってほしいと、新事業に乗り出した。
【鉄道特集】テツの広場
自社レールからブックエンド製作
ブックエンドの素材の一つは、分岐器と呼ばれる特殊なレール。列車が走る線路の切り替えに用いられる。大正10(1921)年の創業時から同社が部品販売を手がけ、やがて自社製造するようになった主力製品だ。
この分岐器を厚さ1・6センチに切り、さらに縦に半分に切り分ける。それに普通のレールを厚さ5ミリに薄切りにしたもの2枚を用意。めっき加工してネジやピンでつなぎ合わせ、底に滑り止めのゴムを貼り付けて、重さ約1・8キロのブックエンドにした。
畑違いの文具づくりに乗り出したのは、「ものづくり」への危機感からだ。
同社の主な取引相手は鉄道会社…