ジャガイモを水耕栽培で効率的に作り出す手法を、玉川大とパナソニックの研究チームが開発した。密閉された植物工場で種イモを作れば、線虫がついたり、ウイルスで汚染されたりするリスクを抑えられるという。
玉川大の渡辺博之教授(植物環境制御学)らのチームは、上下二段の栽培設備を開発。上部では、LEDでジャガイモの葉に光を当てて光合成をさせ、下部では伸びた茎にイモがぶら下がって育つ。
光や温度、湿度、栄養分などを調整したところ、ブランド品種「男爵」で、一つの株から約半年で500個以上の種イモを収穫することに成功した。
パナソニック環境制御技術部の緒方賢史さんは「工場を前提とした種いもの検査の基準が整備されれば、2023年ごろの試験販売をめざしたい」と話している。ジャガイモの工場栽培技術は将来、人類が宇宙に進出する際にも役立つと期待される。
近く、北海道で、水耕栽培で作った種イモを使った栽培実験を行う予定。(田中誠士)