(31日、選抜高校野球 明石商4―3智弁和歌山)
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バットをコンパクトに振り抜き、直球を芯で捉えた。九回、明石商の来田(きた)の打球は狭間監督が「見たことない」と驚くライナー性の弾道で右翼席へ飛び込んだ。
一回のソロに続くこの日2本目の本塁打は、試合を決める一打に。「アウトになってもいい。狙っていました」。最大の売りと自認する勝負強さを発揮し、ほおを紅潮させた。
中盤からお互い追加点を奪えない展開。同じ2年生の中森が粘投していた。援護したかったが、六回は1死三塁で空振り三振。落ちる球につんのめった。
引きずらなかった。スクイズも考えられる場面で、打たせてもらえたことを「信頼されている」と意気に感じ、修正点を「体を残して打つこと」と分析して次の一打に集中した。1年春から1番打者を務めてきた気持ちの強さだ。
同時にこの打席、追い込まれてから目線のぶれが少ない「ノーステップ打法」に変え、さらに力みが抜け、素直にバットが出た。
今大会では3本塁打を個人の目標に掲げていた。あと1本。「狙っていきます」。その先に優勝を見据えている。(有田憲一)
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▽サヨナラ本塁打=明石商の来田が智弁和歌山戦の九回に記録。90回大会(2018年)の松山(創成館)が智弁学園戦で放って以来、21人目。
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▽個人1試合最多本塁打タイ=2 明石商の来田が準々決勝の智弁和歌山戦の一、九回に記録。今大会で野村(山梨学院)が札幌第一(北海道)との1回戦で記録して以来24人目。
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○中森(石) 3失点、161球で完投。「初回から飛ばしたし、智弁和歌山は甘い球は見逃してくれなかった。いつもと違う疲れを感じました」