(3日、選抜高校野球 東邦6―0習志野)
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しぶとさが真骨頂の習志野にとって、空転の1時間半だった。一回、先頭根本の安打で無死一塁。主将竹縄が試みたバントは投手・石川の前へ。軽快に併殺を決められた。この後、走者を出せたのはわずか3度。さらに二つの併殺を奪われ、二塁すら踏めない。「打撃ではなく、攻撃でミスが出た。それが敗因」。竹縄が唇をかむ。
私学に比べれば制約が多い市立校。他に伍(ご)していくため、何をなすべきか。「たとえ、個々の打撃力では劣っていても、攻撃力を上げることはできる」と小林監督。工夫を重ねているのが走塁。準決勝では2死一、三塁から決めた重盗が鍵になった。
今大会の計21得点のうち、相手投手の自責点(失策などが絡まない失点)は10しかない。いかに相手のミスや隙を突く能力にたけていたかを物語る。
1967、75年に全国制覇を果たした。近年も2011年の全国選手権で8強入りし、その後も3度、千葉大会決勝に進んでいる。星稜、明豊などを泥臭く逆転で破った今春は強烈な存在感を放った。
最後は分厚い壁にはね返された。小林監督は「個の力、組織力、完成度でかなうことがなかった。ただ見習うだけでなく、対抗する手段を見つけないといけない」。竹縄も「まだ春。この経験を持ち帰りチームを作り直したい」。
地を圧するかのような吹奏楽の大応援と相まって、根強い人気を誇る千葉の古豪。完敗を糧とする根性は、備わっている。(竹田竜世)