大阪刑務所(堺市)で受刑者に販売される日用品の価格が高すぎるとして、大阪弁護士会が刑務所に改善を勧告した。販売が民間委託された後、ティッシュペーパーが市価の約4・5倍になるなど、受刑者が必要な日用品を買う権利を侵害していると指摘している。勧告は3月29日付。
受刑者は日用品を支給されているが、自費でも購入できる。法務省などによると、全国の刑務所や拘置所などで2011年以降、販売委託先が刑務官OBらの団体から大手商社系の民間業者に変更され、物品や価格が統一された。大阪刑務所では12年から、この業者が販売を開始。男性受刑者が16年、大阪弁護士会に人権救済を申し立てていた。
勧告は、ティッシュ1袋(800枚)が16年当時、市価の約4・5倍となる594円だったと指摘。また11年と16年の価格を比べると、男性用半袖シャツは300円から794円に、男性用ブリーフは306円から702円に最低価格が上がり、周辺の市価よりも高額だったとした。
そのうえで、受刑者が刑務作業で得る報奨金が月額平均約4300円という点を踏まえ、「(値上げが)品質向上が理由だとしても、報奨金に見合わない高騰だ」として、価格の見直しを業者と協議するよう刑務所に求めた。
法務省矯正局は「業者と協議のうえ、適正な価格を決めている。受刑者の環境や施設に合わせた物品であり、スーパーなどとの単純な比較は難しいと考えている」としている。(畑宗太郎)