学生の就職活動で欠かせないOB・OG訪問。現役社員の生の声から、企業説明会ではわからない会社の姿が見える貴重な機会です。しかし最近、OB訪問をした女子学生が男性社員からセクハラ被害に遭ったり、事件に巻き込まれたりする例が相次いでいます。明らかになった問題は「氷山の一角」なのか。企業や大学が対応に動き始めましたが、学生もどう対処すればいいのでしょうか。
最初は仕事の話だったのに
都内に住む私立大4年の女子学生(21)。運動部のマネジャーを務め、金融業界の総合職を目指して就活中だ。業界の生の声を聞くため、OB訪問で大手銀行の男性社員に会うことになったが、その対応は名の知れた銀行の行員とは思えないものだった。
「今思い出しても腹が立ちます。なめられていたのでしょうね」
OB訪問したのは昨年5月ごろ。男性社員とは部活動の関係で知り合った。
「LINEで連絡を取り合い、指定されたのは大学近くの居酒屋でした。『大学の先輩なので気兼ねはいらない。気軽に話そう』と言っていましたね」
最初のうちは仕事の話だったが、途中から男性の様子がおかしくなった。
「『彼氏はいるの?』と聞いたり、頭をなでたり。やたらとお酒をすすめてきました。翌日は試験なので、『お酒は控えめにする』と伝えていたのに。しまいには、『飲まないと話さない』と。仕方なくつきあいました」
午後9時半ごろに店を出た時は、「こんな人に聞いても仕方ない」と思い、はっきりと「帰宅する」と伝えた。
「俺は人事とかかわりがある」
それでも男性は2次会に誘ってきた。
女性が断ると、こう言い放った…