主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が11日夜(日本時間12日午前)、ワシントンで始まった。初日は世界経済の見通しや米中の通商摩擦などが議論された。6月に大阪であるG20首脳会議の議長国としての日本の指導力も問われている。
麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が出席して議長を務める。財務省同行筋によると、世界経済が「今年後半に持ち直す」という認識に異論はなかったが、リスクとして通商摩擦や英国のEU離脱問題などが挙がったという。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も11日の会見で、「次の危機を持ちこたえるための政策的な余地をつくっておくべきだ」と訴えた。
ただ、現実はそれと逆行する。2020年の再選を目指すトランプ米大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)に対し、景気を刺激する異例の利下げを要求。米中の対立も根深く、財政・金融政策で国際協調を図る機運は弱まっている。
G20は6月に福岡で財務相・中銀総裁会議を再度開いた後、大阪での首脳会議を迎える。日本は自国での会議を実りあるものにするためにも、12日までの今回の会議で、世界経済の課題について認識を共有したい考えだ。(ワシントン=岩沢志気、青山直篤)