日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が日産の資金を自らに還流させたとする特別背任事件で、東京地裁は12日、東京地検特捜部が請求した前会長の10日間の勾留延長について、15~22日の8日間延長する決定を出した。特捜部が求めた勾留延長が短縮されるのは異例だ。弁護側は決定を不服としてすぐに準抗告したが、地裁は棄却した。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長の勾留をめぐっては、昨年12月に地裁が特捜部の延長請求を却下。今回の地裁の判断が注目されていた。
特捜部は今月4日、保釈されていたゴーン前会長を特別背任容疑で再逮捕した。地裁は翌5日、特捜部の請求を認めて10日間の勾留を決定。14日に勾留期限が切れるため、特捜部は24日までの勾留延長を請求していた。延長は最大で10日間認められるが、起訴か不起訴かを判断するためにさらに捜査が必要だという「やむを得ない事由」がある場合に限られる。この日の地裁の決定は、特捜部の捜査の進み具合などを具体的に検討したうえで、8日間延長すれば十分だと判断したとみられる。
勾留の判断をめぐっては、2014年の最高裁判例を踏まえて「証拠隠滅の現実的な可能性」について吟味する傾向になっている。あるベテラン裁判官は「特捜部の事件とはいえ、今回は4回目の逮捕。捜査の経緯を踏まえれば、勾留を数日削るのは異例ではない」と話す。
今後、特捜部は勾留期限の22日にもゴーン前会長の追起訴を判断するとみられる。27日からは10連休に入るため、ある検察幹部は地裁の決定を「追起訴後の保釈をめぐる判断が連休にかからないよう短縮したのでは」と指摘。別の幹部は「地裁は連休前に保釈したいのだろう」と批判した。
ゴーン前会長は15~18年、…