警備業者と契約先との取引の実態について公正取引委員会が調べたところ、約1割の業者が契約先から独占禁止法違反となる可能性がある不当な扱いを受けた、と回答したことがわかった。上下関係を利用した不当な要求は、現場で働く警備員の職場環境に影響するおそれがあるとして、公取委が問題視している。
公取委は昨年~今年2月、全国の警備業者1千社に、契約する上位3社との取引についてアンケートを実施。契約先から独禁法違反になり得る要請や扱いを受けたかについて尋ねたところ、主に施設警備や建設現場などの交通誘導・雑踏警備をする459社から回答があり、その11%にあたる52社が「ある」と答えたという。
不当な要請の内容としては、契約後の値引きや協賛金の負担、契約外の業務のほか、契約先の関連会社が販売するクリスマスケーキの購入といったケースもあった。こうした要請をした契約先は計91社で、その約7割が建設業者だった。
不当な要請を受けても取引を続ける理由には、「取引額が大きい」「取引の継続が信用確保につながる」などが挙がった。
独占禁止法は、優越的な地位を利用して取引先に不当に不利益を与える行為は「優越的地位の乱用」にあたるとして禁じている。こうした不当行為が行われれば、相手方の自主的な判断による取引を阻害するとともに、同業他社より有利な条件を得られることになって公正な競争が失われるおそれもある。公取委は今後、建設業者団体に対して調査結果を伝え、取引の公正化に向けた取り組みを求める。違反行為には厳正に取り組むという。
■契約にない「ごみ処理費」の負…