平成と同じ表記で注目された岐阜県関市にある平成(へなり)地区。改元を前に、缶詰が販売された。詰められたものは、「空気」だ。
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平成地区を流れる平成川に架かる元号(げんごう)橋付近で22日、地元住民ら約10人が空き缶に5円玉を入れては、ふたをしていた。缶詰の商品名は「平成の空気」。読み方は「へいせい」と「へなり」を併記した。5円玉を入れたのは、「新しい時代にもご縁がありますように」との思いからだ。缶詰め作業に参加した男性(27)は「平成最後の平成地区の空気を遠くの人にも感じてもらいたい」と話した。
詰められた空気は特別な香りもせず、特に有用な成分も含まれていない。企画したヘソプロダクション(大阪市)の稲本ミノル社長(43)は「ただの空気を缶詰にして売るのはバカバカしいと思われるかもしれない。でも、頑張った平成という時代の空気を残したい人はきっといる。売れ残ったら未来に保存します」と話す。
同社は2017年に企画販売した「忖度(そんたく)まんじゅう」でも知られる。
「平成の空気」の販売は地元のNPO「日本平成(へいせい)村」が担当。さっそく近くの「道の駅平成(へいせい)」で販売した。1缶1080円。600個の限定販売だ。買い求めた70代女性は「平成の記念になる。いつ開けるか迷います」と話していた。(山野拓郎)