税金で支援されているはずの「国公立」病院が、インターネット上で寄付を募る「クラウドファンディング」(CF)に資金を頼る例が増え始めている。背景には、国や自治体の財政難に加え、採算が取りにくい分野にも取り組まざるをえない「公」の病院としての役割がある。
「無菌室の不足は深刻な問題だった」。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で主に小児がんの治療に携わる松本公一医師は言う。
2018年8月、同センターに無菌室が二つ増え、状況が改善された。10畳ほどの部屋に便座やシャワー、大型テレビ。部屋の外からの菌の流入を防ぐため、常に空気をきれいにする特殊な空調設備もある。
無菌室は白血病などを発症した子どもたちに、「造血幹細胞移植」という治療を行う際などに使われている。免疫力が低下した子どもたちが感染症にかかるのを防ぐためで、同センターでは年間30~40人が対象となる。
これまで無菌室は二つだけで、「二つだと全然足りない状態」(松本さん)だった。1人の患者の治療に30日程度かかるという事情があるためだ。普通の個室に無菌の空間を作っていたが、子どもたちが動けるのはカーテンで仕切っているベッドスペースのみ。患者や親から「ストレスが結構ある」との声が上がっていた。
無菌室の新設にはCFで集まった3100万円を使った。松本さんは「国や自治体から手厚い支援を受けていると思われがちだが、そうではない」と打ち明ける。
同センターは「国立研究開発法…