「みる・きく・はなす」はいま 通わぬ言葉
住宅の軒先に、いくつもののぼりがはためく。「住環境の破壊 ダメ!絶対!」「子ども達の安全・安心を守れ」。昨年秋、大阪府摂津市にある住宅地の風景が変わった。
約1500世帯が暮らすこの地区には、古くから代々続く家も多い。そこに外国人技能実習生を受け入れる監理団体が研修施設を計画し、反対運動が巻き起こった。計画によると来日直後の実習生に約1カ月間、日本語や生活習慣を教え、最大60人余りが暮らせる。
昨年秋から6回開かれた説明会では、分譲住宅にするための土地が転売された経緯への不満や、外国人への不安の声が続いた。「地区の真ん中に外人がどんと来られたら困る」。団体の担当者に「不法就労や犯罪に走る可能性はあるわけやな」と根拠がないまま迫る人もいた。
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深刻な人手不足の解消を外国人に頼る改正入管法が4月に施行された。政府の構想通りにいけば外国人労働者は大きく増えるが、実際に暮らすことになるコミュニティーで、合意の形成はそう簡単ではない。
摂津市の施設をめぐっては、市内外から反対の署名が1万筆近く集まった。今も建設は見通せない。
反対する住民ばかりではない。
4月まで自治会長だった男性(…